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いよいよ「空飛ぶ自動車」の時代到来!

以前からこのコラムを読んでいる方は、このタイトルを見て、前にも見たことがあると思われるかもしれない。実は2年前にほぼ同じタイトルで、このコラムを書いている。微妙な違いは、2年前には、最後に「?」がついていたものを、今回は「!」にしたことだ。2年前には、「空飛ぶ自動車」(Flying Car)という話は、テレビ漫画の「宇宙家族」(”The Jetsons”)の話だったり、1985年から1990年にかけて上映された映画「Back to the Future」の中の話ではあったものの、新聞等ではほとんど話題になっていなかった。

それが最近は、新聞等でときどき見られるようになり、実際に空飛ぶ自動車がテスト飛行したりする、現実のものとなってきた。すでに販売されているものもある。2月のコラムに書いたConsumer Electronics Show(CES)にも、注目された展示物の一つとして、Bell Nexusという空飛ぶ自動車を紹介したばかりだ。空飛ぶ自動車の時代にすでに入った、というところまでは来ていないが、いよいよその時代が到来する、という実感は十分感じられるようになった。

自動車に関しては、自動運転が、まだ一般に広まるには時間がかかりそうだが、技術的には100%とはいかないものの、ほぼ実現可能で、その時代が来るのは、If(もしかしたら)ではなく、When(いつ)という問題になった。そして今回、空飛ぶ自動車についても、2年前はIfという感じだったが、もはやWhenというステージに入ってきたと感じられる。映画「Back to the Future」で設定されていた2015年10月21日はとっくに過ぎてしまったが、いよいよそれが現実のものとなりつつあるのは、楽しみだ。

最初に私が空飛ぶ自動車に関する新聞記事を見かけたのは、ライドシェアで有名なUberによる2016年10月のUber Elevateの発表だ。Uberは、ライドシェアでも自社で車を開発製造するのではなく、他社が開発したものを使って、ライドシェア・サービスを提供しようというものだが、空飛ぶ自動車でも同様だ。Uberとしては、全く別な世界に参入しようというわけではなく、現在のサービスの延長線上に、この「空飛ぶ自動車による、ユーザーの輸送」、という考え方があるわけだ。Uberの目標は、2026年にこのサービスを実現すること。そう遠くない話だ。

しかし、ここ2年で、いろいろな会社が、空飛ぶタクシーという言い方で、Uberと同様のことを考え、そのコンセプトを発表したり、実際に空飛ぶタクシーの見本を展示会に出すようになってきた。それも、新興スタートアップ(ベンチャー)企業だけではない。CESで発表したBellは、大手ヘリコプター会社だ。また大手航空機会社のAirbus、大手自動車メーカーのAudiなども、空飛ぶ自動車についてのコンセプトなどを発表している。そして、航空機大手のBoeingも、この1月に初のテスト飛行を実施した。

空飛ぶ自動車とひとことで言っても、いろいろなタイプのものがある。私が期待するのは、通常は普通の自動車で、空を飛びたいときは、そのまま垂直離着陸でき、ガレージにもそのまましまえるものだ。そして、パイロット免許などなしで操縦できれば理想的だ。現時点で発表されたり、テストされたりしているものの中には、残念ながらそこまでのものはない。どれも帯に短し、たすきに長し、という感じだが、用途を特定すれば、それなりに有効に使えそうなものも少なくない。

最近の特徴は、大手企業の参入に加え、個人で乗るものだけでなく、空飛ぶタクシーというものが増えたこと、さらに自動運転も加え、パイロット免許を必要としないものをめざすところが増えていることだ。さきほど紹介したBellやBoeing、またUberなども、空飛ぶタクシーとして、垂直離着陸の可能なVTOL(Vertical Takeoff and Landing)と言われるものを目指しており、そのままその車が一般道路を走る自動車になる、というものではない。どちらかというと、離着陸は現在ヘリコプターが使っているヘリポートなどを使い、ヘリポートからヘリポートへの輸送を目指している。現在のヘリコプターとの違いは、音が静かなこと、将来的には自動運転を可能にし、パイロット免許を持つ人なしで操縦できるようにすることなどだ。

このような空飛ぶタクシー的なものではなく、通常利用する自動車がそのまま飛ぶ、というものも、いくつかのスタートアップ企業で開発され、すでに試験飛行されている。たとえばオランダのPAL-V社のものは、走るときは1人乗りの3輪自動車で、飛ぶときには、屋根についているヘリコプターの羽のようなものが開き、それで飛行可能となる。飛行速度は時速160キロメートルという。すでにヨーロッパおよび米国連邦航空局の許可も下りている。ただ、いまのところ垂直離着陸ではなく、多少の滑走路が必要だ。

もうひとつ、米国Terrafugia社のTF-Xは4人乗りで、見た目は通常の車に近いもので、プロモーション用のビデオでも、普通の車のガレージから出てくる。そして、飛ぶときには車の両側にモーターのようなものが出てきて垂直離着陸し、空を飛ぶ姿はまさに映画に出てくるものに近い。飛行速度も時速320キロメートルで、800キロほど飛べるという。ただし、これはまだコンセプト・レベルのもので、実際にすでに開発し、テストしているTransitionは、車がそのまま羽を広げて飛行機になるが、滑走路を必要とする。これはすでに予約を受け付けている。

またTF-2は、数人乗りの車をヘリポートに移送し、そこで、人が乗っている部分を車体から分離し、大型ドローンのようなものにドッキングさせ、目的地まで飛行し、そこでTF-2の地上走行車に、人の乗っている部分を移し、車として走らすものだ。空飛ぶタクシーと一般道路を走る車を、人の乗る部分だけ共通にすることにより、乗り換えを簡単にしたもの、というわけだ。空飛ぶタクシーがDoor-to-doorで実現できるという意味では、なかなか面白いが、私の期待するTF-Xが開発されるまでには、もう少し時間がかかりそうだ。

私は空を飛ぶのが好きなので、早くこれら空飛ぶ自動車が身近なものになってほしいと願っている。2年前と異なり、大手企業も次々にこの市場に参入してきているので、その開発にも拍車がかかるだろう。私の時代にこれが現実となることは、もう間違いなさそうだ。

  黒田 豊


(2019年4月)

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